80年代後半から90年代前半にかけて文房具界に君臨していたヒーローを覚えていますか?
そう! 「エスパークス」です
ノートにストーリー付きのコミックが付いた当時では画期的な文房具でした。
ノートの他にも缶ペンケースや消しゴムなど様々なグッズが存在し、後期はメディア展開(TVゲームやお菓子など様々なサプライズ)も行われました。
2009年には復刊ドットコムより今までのシリーズを集めた単行本がリリースされたのも記憶に新しいと思います。
しかし、突然の打ち切り
ところがこの作品、1995年に不可解な終わり方をしてしまっているのです。
上記の画像はネットの画像掲示板で拾った当時存在したファンクラブの会員に送られたペーパーです。
なんとこの作品は95年に不可解な打ち切りで終わってしまいました。
でも普通作品が終わるのであれば「次回で最後にしよう」な感じで完結編が制作されるはずです。
なぜこのような形で終わってしまったのか?
ウィキペディアでは意味不明な説明がされています。
サンエックスは第10弾を区切りにする予定だったが、第9弾のラストから新たな展開を作り出し、なおかつ第10弾のみで完結させるストーリーは不可能と征矢浩志(ソッピー君)が判断し、結局9弾が最後になった[要出典]。
エスパークス – Wikipedia
こんな状態なので復刊しても何だかモヤモヤしたものが残った状態になってしまっているのが現状です。
しかし、復刊ドットコムより発売した単行本の初回限定盤に付属の小冊子に収録されているインタビューにその謎を解く鍵が隠されていることが改めて読むことで判りました。
可能な限り紐解いてみましょう。
シリーズが展開して有名になると起こること
まずエスパークスはシリーズが後半になるにつれて人気が高まってきます。
するとサンエックス以外からもグッズなどが出るようになりました。
当時で言う「メディアミックス」にあたります。
玩具メーカーには現在のタカラトミーやバンダイ。
製菓メーカーはロッテ。
出版には小学館などが関わっていたことが伺えます。
征矢:取材はそれくらいだったんですけど、後は玩具メーカーさんとか、食品メーカーさんとか、小学館以外の出版社さんもいらっしゃいましたね。文具関連じゃないところから話が来るようになったりしたときに「これは(様子が)違うかな?」って。ちょっとビビリました。
〜ESPARKS SPECIALBOOKLET 座談会 28ページより
こうなると業界から様々な提案や要求が出てくるでしょう。「こんなグッズ出しましょう」とか「こんな展開をしましょう」など…
当時のトミーからスーパーファミコンソフトとゲームボーイソフトがリリースされたのもその一環ではないかと思われます。
クロダマン:残念だったのは「エスパークス」が終わってしまったのは、人気がなくなったから終わってしまったわけではなくて、いろいろなしがらみの中で止まってしまったというのがあって。
〜ESPARKS SPECIALBOOKLET 座談会 29ページより
このような状況になってくると作者やサンエックス側としては作品を自由に動かせなくなってしまったということでしょうか?
シリーズ第9弾であまりにあっけない終わり方をしてしまっているのを今見ると当時の業界が持ついびつな構造を読むことが出来ます。
結局エスパークスは後期におけるメディア化の波に揉まれた結果、これ以上続けることが困難となってしまった。
だから最終回を迎えることなく「打ち切り」という形で収束せざるを得なかったということなのではないでしょうか?
価値あるコンテンツを今日に活かせず眠らせたままにするのは余りにも残酷
さて、今日でもエスパークスのことを思いだしていろいろ調べたりする人は多いようです。
現在復刊ドットコムから発売された単行本は初回限定盤はもとより通常版も大変入手困難となっていますが、2015年に電子書籍版がリリースされました。
そのほかLINEスタンプもリリースされています。
エスパークスは当時のサンエックスを現在のリラックマなどの巨大コンテンツを作り上げるにまでに成長させた存在のはずです。
なのでもう少しエスパークスに対してサプライズを行うべきなのではないでしょうか?
どうも当時の尻切れトンボのような終わり方を後ろめたさに過去を未だに引きずっているように見えてしまうのです。
当時のグッズなどは今ならオンデマンドで簡単に作ることが出来ますし、ネットやスマートフォンなどを駆使したコンテンツでも十分楽しむことが出来ます。
今からでも遅くはないので可能な限りシェアすると良いでしょう。